【報告】 文部科学省へ「学習指導要領改訂に関する要望書(最終版)」を提出し、記者会見を行いました

2026年8月5日(水)、広げよう!子どもの権利条約キャンペーンの政策提言チームは、文部科学省へ「学習指導要領改訂に関する要望書(最終版)」を提出するとともに、その内容を発表する記者会見を開催しました。さらに8月21日には教員養成担当の部署も訪問し、同様の要望書を提出・意見交換を行いました。

今回提出した要望書は、6月18日(木)に提出した要望書をもとに、その後実施した子どもアンケート調査の結果を反映し、当事者である子どもたちの意見や視点を盛り込んだ最終版です。*

8/5文部科学省教育課程課へ要望書(最終版)を提出

本キャンペーンでは、子どもたちの声を政策提言に反映するため、小学生から高校生を対象に子どもアンケートを実施した結果、64名からの回答と2名からのコメントが集まりました。その結果を踏まえた要望書の最終版を作成し、改めて文部科学省へ提出しました。

当日は、本キャンペーン実行委員会を代表して5名が文部科学省を訪問し、共同代表の国際子ども権利センター(C-Rights)甲斐田万智子、実行委員団体のフリー・ザ・チルドレン・ジャパン中島早苗、共同事務局ACEの成田由香子から、要望内容およびアンケート結果について説明を行うとともに、要望書の最終版を提出しました。

また末冨芳氏(日本大学文理学部教育学科教授)も同席し、要望内容について具体案など参考情報の提供や助言などを頂きました。

文部科学省との意見交換

要望書提出後には、文部科学省担当者との意見交換を行いました。

まず、キャンペーンの代表とメンバーから、4つの要望書(「総則」「教員養成」「特別活動」「道徳」)の内容について、それぞれ子どもアンケート結果から見えてきた子どもたちの声を紹介しながら説明を行いました。それに対し、文部科学省教育課程課の武藤課長からは、主に以下の回答をいただきました。

  • 全体として要望書に書かれていることと担当である我々の気持ちは同じであり、総則は学校教育のすべてに影響するため、しっかり検討したい。
  • 子どもの権利も同様だが、子ども参画については、特別活動などの中で明記したいと考えている。ルール形成・学校生活改善の中で、子どもが学校運営に関わる主体になるという内容で書くことも検討している。明記することで学校の実践を促したい。
  • 道徳と特別活動は連携できるはず。道徳と特別活動の授業は1週間に1時間ずつしかないなかで児童生徒が子どもの権利をどのように学べるか。カリキュラム全体で普段の学校生活において子どもの権利を実践的に学べるようにする必要がある。
  • いじめなど、子どもが声をあげられるようになることについては、生徒に配布しているギガ端末に相談できるアプリがあり、いつでもクラウド上で子どもの声を寄せられるような仕組みを作っており、学校も少ずつ取り入れている。
  • 子どもの権利教育などについては、プログラム提案ということもでき、研修と合わせて検討できる方法もある。
  • 次期学習指導要領では、教員の余白をつくるために令和10年度から調整授業時数制度が導入され、週1コマ研修や研究に割くことができるようになる。
文部科学省教育課程課との面会の様子

8/5記者会見を開催

同日午後には文科省記者会見室にて、記者会見を開催し、キャンペーンとして本要望書を提出するに至った経緯・背景や、子どもアンケート調査の概要を説明し、文科省へ提出した際と同様に4つの要望書について説明を行いました。当日は会場・オンラインあわせて12名の記者にご参加いただき、質疑応答では、学習指導要領改訂への反映の見通しや学校現場への影響、アンケート調査の実施方法などについて質問が寄せられました。

<記者からの質問(要点にて一部掲載)>

Q1.特別活動ワーキンググループや道徳ワーキンググループにおいて、子どもの権利や子どもの参加に関する内容が既に議論されていると思うが、その検討状況や今後の方向性についてどのように考えているか。

A1.

  • 本日文部科学省担当者から、学習指導要領の特別活動において方向性として子どもの権利や子どもの参加が盛り込まれる可能性について説明があり、前向きに受け止めている。
  • 実際に学校現場で実現するためには、教員養成課程や現職教員研修において、子どもの権利や子どもの参加を支える姿勢・スキルを学ぶ必要がある。
  • 道徳教育についても、子どもを権利の主体として捉える人権教育の観点を取り入れるため、教員研修が一層重要になる。

Q2.要望書では、子どもの権利や子どもの参加を学習指導要領に位置付けることを求めている。しかし、学習指導要領に書き込まれたとしても、それだけで学校現場が大きく変わるとは限らないのではないか。今回の提言によって、実際に学校現場はどのように変わっていくと考えているか。

A2.

  • 学習指導要領が変わるだけで学校が変わるとは考えていない。
  • 教員が「子どもの権利とは何か」「子どもを権利の主体として尊重するとはどういうことか」を理解し、実践していくことが必要である。そのためには、価値観や姿勢の変化につながる研修や学びの機会が重要になる。
  • また、教員だけでなく校長や教育長など、学校運営を担う立場の人たちの理解も必要。
  • 「子どもの権利を教えると子どもがわがままになる」という誤解は依然としてあるが、実際には権利を学ぶことで、子どもは自分だけでなく他者の権利も尊重できるようになる。子どもの権利が尊重されることは、子どもだけでなく教員や保護者にとってもよい環境につながると考えている。
文科省記者会見室での記者会見の様子

8/21文部科学省の教育職員政策課への要望書提出― 教員養成課程への「子どもの権利」反映について

さらに8月21日、文部科学省初等中等教育局教育職員政策課を訪問し、教員養成部会宛の要望書の提出と意見交換を行いました。主に教員になる方が子どもの権利を学べるようにしてほしいという要望について、教員免許・研修企画室の大根田室長からは、いずれの要望も大切な観点だと受け止めていただいたうえで、次のようなお話がありました。

  • 今回、教員養成課程の改革が、学習指導要領の改訂と「両輪」で連動して進められており、10年前の改訂のときよりも、両者をしっかり一致させながら検討している点が特徴。多様性の包摂に加えて、日本国憲法、教育基本法、子どもの権利を中核として位置づける方向で議論が進んでいる。
  • 制度の根拠となる教育職員免許法の改正案も作成しており、順調に進めば最短で2030年から新しい教員養成カリキュラムが始まる見通し。教員養成には時間がかかるため、今から着実に体制を整えていく必要がある。
  • 一方で、子どもの権利についての学習などをカリキュラムに「含むべき事項」として定めても、各大学での実装と、それを教えられる先生の確保がいなければ実現しない。それをどう担保するかが、これからの鍵になる。また現職の教職員への研修は各自治体が担うため、新しくできた調整授業時数制度も活かしながら、研修が「教室に届く」形で充実していくよう、関係課と連携して検討を進めたい。

提出書類

<学習指導要領改訂に関する要望書(最終版)>

<要望書の子ども向け要約版>

<子どもアンケートの結果集計>

次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)を受けて

その後の2026年8月31日、文科省 教育課程部会 教育課程企画特別部会(第17回)が開催され、「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」が出されました。素案では「主体的・対話的で深い学び」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」を改訂の三つの方向性として示し「民主的で持続可能な社会の創り手」の育成を中心理念としています。

本キャンペーンの要望として重視する「子どもの権利条約」の明記、「子どもを権利の主体として位置付けること」、「子どもの権利教育の推進」については、十分に示されておらず、権利条約そのものを教育課程の基盤として明確に位置付けてはいませんでした。

しかし、いくつかの点で、こども基本法に言及しており、目指す方向性としての共通点も見られました。特に、特別活動では「こども基本法」を踏まえた「子供の意見表明」の 機会の確保の視点を踏まえることが言及されており、児童会・生徒会活動や学校運営への参画、校則等の議論を通じた意見形成は、要望の方向性と大きく一致しています。

審議まとめが、子どもの主体性やエージェンシーの育成、意見表明と社会参画、対話と合意形成、多様性の包摂、心理的安全性の確保を重視し、「民主的で持続可能な社会の創り手」の育成を目指している点は非常に重要であり、そのためには子どもを権利の主体として位置づけること、教員養成に取り入れることを改めて要望したいと思います。

今後に向けて

次期学習指導要領においては、今後もパブリックコメント等が予定されており、意見を届ける機会があります。 今後も本キャンペーンでは、子どもの権利条約およびこども基本法の理念に基づき、子どもが権利の主体として尊重され、自らの意見を表明し参加できる学校づくりが進むよう、引き続き政策提言活動を進めてまいります。今回寄せられた子どもたちの声が、次期学習指導要領の検討に反映されるよう、今後も働きかけを続けていきます。

*6月の要望書提出については、こちらからご覧いただけます。
文部科学省へ「学習指導要領改訂に関する要望書」を提出しました

以上

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