2023年12月7日(木)、広げよう!子どもの権利条約キャンペーン(以下、キャンペーン)では、「子どもメガホンプロジェクト」の活動の一環として行われたアンケートの結果をもとに、政策決定者に子どもたちの声を届ける院内集会(参議院議員会館)を開催しました。当日は、小学5年生から高校2年生までの子ども11人(うちオンライン参加3名)、国会議員・関係省庁からのべ17名、報道関係者5名、キャンペーン関係者13名が参加しました。
本集会は、自民党児童の養護と未来を考える議員連盟、超党派ユニセフ議員連盟、超党派子どもの貧困対策推進議員連盟、超党派ママパパ議員連盟からの後援を頂き、開催することができました。心より感謝申し上げます。
1.牧島議員による議員あいさつ
まずはじめに、牧島かれん衆議院議員よりあいさつを頂きました。子どもたちにも分かりやすい言葉で院内集会についてご説明頂いた後、「こども家庭庁ではこども大綱というのを決めています。このこども大綱というのは、子どもの声を反映させる、子どもの権利を大事にするという基本的な考え方が打ち出されています。この基本方針を絶対に守ってねということを、私たち議員のおとなたちも今取り組んでいるところなので、ぜひ、みなさんの声を大事に反映する、『こどもまんなか』というのができたからにはそれを実現させていくという思いで活動をしているので、今日も大事な時間皆さんからお話をしっかりといただき、そしてフィードバックすることも大事にしたいと思います」とのメッセージをいただきました。
2.子どもメガホンプロジェクト、全国子どもアンケートの概要説明
続いて子どもメガホンプロジェクトおよび全国子どもアンケートについて、山内澄子(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン アドボカシー課国内政策提言チームマネージャー)より説明しました。
子どもメガホンプロジェクトについて
このプロジェクトは、日本の子どもたちが抱えている課題や子どもの権利・子どもの権利条約について学び、自分たちの身の回りでおかしいなと思うこと、子どもたちを取り巻く問題を国や社会に伝えてみたい、という思いを持った子どもたちが、今年は全国北から南まで19人(10歳から19歳まで)が集まっています。
毎月1回、多い時は3回オンラインで集まりミーティングをして、自分たちの考えをまとめてきました。この活動は新しい取り組みで、2023年5月から活動し、毎月子どもの権利や前回の国連が出している総括所見について学んだり、今日のテーマでもある全国子どもアンケートの質問について一緒に考えながら活動をしてきました。
全国子どもアンケート「みんなの今を教えて~子どもの権利、知ってる?~」について
2023年9月から10月にかけて実施しました。
目的は2つあり、ひとつは日本政府が子どもの権利条約を守っているかについて、日本の子どもたちが感じている・抱えている課題について子どもたちの声を直接子どもたちに聞くことで現状を把握する事です。もうひとつが子どもたちから寄せられた結果を、政策決定者に、そして今後の活動として国連子どもの権利委員会に届け、その後の具体的な政策の変化につなげることです。
このアンケートの質問内容は、4つのグループに分かれて考えました。「子どもの意見表明」「学校生活」「教育格差」「子どもの心と体の健康」です。それぞれのカテゴリーについて4問の質問があり、それらは今日ここにいる子どもたちと今日は参加できなかった子どもたちが一生懸命考えたものです。前半の子どもの権利という部分はプロジェクトのおとなメンバーが考えた部分です。
そしてアンケートには、全国で約1,400人の10~18歳の子どもたちが真剣に回答してくれました。今日はこの院内集会で、全国の子どもたちの回答をもとに、ここに集まっているメンバーたちが提言したいことを皆様にお伝えしていきます。どうぞ最後までよろしくお願いします。
※全国子どもアンケートの質問票など詳しくはこちらのサイトからご覧いただけます。
3.子どもと国会議員・関係省庁の方々とのグループワーク:子どもと語ろう!アンケートの結果と提言、私たちの気持ちについて
子どもたちと国会議員・関係省庁の方々が数名ずつのグループに分かれ、アンケート結果と子どもからの提言を踏まえての意見交換を2回実施しました。
子どもたちからは、以下のような意見が発表されました。
グループ「子どもの意見表明について」の子どもたちより
- 「相談先があることを子どもたちに知らせるための周知や広報を様々な方法で行うべき。相談しやすい環境を作ってほしい」
- 「多くの子どもが手にしているタブレットに、子どもの権利条約についてや、子どもには意見をいったり相談できる場所がある、ということを伝えるアプリを入れてほしい」
- 「YouTube広告や子どもがよく見るテレビ番組を通して、子どもの権利や意見表明について伝えてほしい」
- 「子どもが相談できる場所は学校でチラシが配られてはいるが、情報が届きづらい。SNSやタブレットなど、子どもたちに届きやすい方法で情報発信してほしい」
- 「子どもたちが同じ悩みや考えを持つ仲間同士でつながりやすいオープンチャットのような仕組みを活用してほしい」
- 「子どもの意見表明というと子どもたちにスポットライトが当たりがちだが、子どもの意見を受け止める大人側の理解や姿勢がもっと問われたら良いと思う」
グループ「学校生活について」の子どもたちより
- 「学校の校則について子どもたちが声をあげることは、意見表明の実践に繋がると思うので、おとなと子どもでコミュニケーションを取りあう機会として学校で取り組んでほしい」
- 「先生に対しても、子どもの権利を学ぶ時間を設けるため、教員採用試験に組み込み、既にいる先生にも研修を実施してほしい」
- 「学校外で子どもの権利擁護機関を設置してほしい」
- 「学校が子どもの権利を守っているかのチェックを、学校任せではなく第三者機関やこども家庭庁にお願いしたい」
- 「学校と連携した校則づくりの実施や、『子どもの権利を考慮し』といった文言を校則に入れてほしい」
- 「子どもの自殺者数を子どもの権利が守られているかを測る基準にしてほしい」
グループ「教育格差について」の子どもたちより
- 「家庭の収入の差や地域・学校の差によって教育格差を感じている子どもが多いため、就学前教育費の無償化と児童手当のさらなる拡大を実現してほしい」
- 「タブレットの活用度合いに学校・地域・教師ごとで違いがあるので、活用方法を学校間・クラス間で共有してほしい」
- 「学校を休んでもオンライン授業に参加できるようにしてほしい」
グループ「子どもの心と体の健康について」の子どもたちより
- 「子どもの心と体を守るためには、もっと学校で子どもの権利について学ぶ授業があった方が良い」
- 「子どもの権利条約について、SDGsと同じようにもっと学校内で広める工夫をしてほしい」
- 「子どもの心と体を守ることができるよう、子どもたちの学ぶ機会を増やし学校の先生たちも一緒に学んでほしい」
4.国会議員による感想・コミットメントの発表
「もっと子どもたちに相談窓口や子どもの権利を伝えるために、学校以外でどういった機会があればよいのかということについてご意見いろいろありがとうございました」「子どもたちに求めるだけでなく、おとな側へのアピールの重要性を感じた」
議員メッセージ
- 牧島かれん 衆議院議員(自由民主党)「未来を作るのはみなさんです」、
- 古屋範子 衆議院議員(公明党)「こどもの意見を尊重する社会を作ろう!」
- 宮路拓馬 衆議院議員(自由民主党)「常に子どもの意見を聴けているか意識します!」
- 岡本あき子 衆議院議員(立憲民主党)「『第3の居場所』『校則の見直し』子ども若者の真の声をいっぱい聴いてがんばります!!」
- 大椿ゆうこ 参議院議員(社民党)「大人が子どもの権利条約を学び、子どもが権利を行使できる社会をつくる!」
牧島かれん議員 古屋範子議員 宮路拓馬議員 岡本あき子議員 大椿ゆうこ議員
5.閉会のあいさつ
最後に、甲斐田万智子(本キャンペーン共同代表、認定NPO国際子ども権利センター(シーライツ)代表、文京学院大学教授)より以下のまとめの挨拶で閉会しました。
「今日も子どもたちからとても素晴らしい意見がたくさん出たと思います。ひとつひとつの意見を聞くだけじゃなくて、ぜひこの社会で政策に生かして欲しいと強く思いました。やはり子どもの思っていること、辛いこと、困っていることは子どもに聞かないとだめだなということがひとつ感じたことですが、そういう問題に直面した子どもだからこそ、どんなふうにしたらいいかという解決策もいろんな方法で示してくれたと思います。なるほどなと思う解決策もたくさんありました。ぜひ子どもたちの声を聞いて、子どもの最善の利益を一番に考えて社会を作っていく、変えていくことをして頂きたいと思います」
当日の運営メンバー:(組織名、五十音字順)
杉山、成田(ACE)、甲斐田(C-Rights)、大野、武田、西崎、山内(SCJ)、鈴木、中島、広瀬(FTCJ)、高橋、山下(WVJ)
以上