2022年12月10日(土)~11日(日)の2日間、沖縄県那覇市の沖縄大学キャンパス内にて、 子どもの権利条約フォーラム2022in那覇/沖縄(同フォーラム実行委員会主催)が開催されました。
「子どもの権利条約フォーラム」は、子どもの権利条約の普及および関心を寄せる人々の学びや交流の場として、1993年から毎年、全国各地で開催されています。そして30回目となる2022年は、本土復帰50年周年を迎える沖縄で開催され、沖縄で暮らす子どもたちの現状や、子どもたちの課題解決に取り組む市民団体などの活動についても知る意義深い機会となりました。
当日は2日間で、メインプログラムと30の分科会が対面やオンラインで開催され、沖縄や全国からのべ約1,000名が参加しました。
オープニングでは、喜多明人(子どもの権利条約ネットワーク代表、早稲田大学名誉教授、広げよう!子どもの権利条約キャンペーン共同代表)より、これまで各地で開催された「子ども権利条約フォーラム」の歴史や、そこでの子ども参加の学びについて発表がありました。また各地域の子どもたちからの発表などがありそれを受けて、玉城デニー知事の挨拶では「みなさんの声を必要なところへ届けてください」と開催のエールと参加者へのメッセージを述べました。
2日目はプレーパークが開かれ、たくさんの子どもたちが様々な遊びを体験する場が作られました。
クロージングでは、沖縄の子ども・おとなたちによるバンド演奏、参加者同士の振り返り共有、那覇市の久場健護副市長からの挨拶などがありました。
子どもの権利条約フォーラム2022in那覇/沖縄の公式HPはこちら:https://kodomokenri.okinawa.jp/
本キャンペーンは、フォーラム実行委員会メンバーとしての運営参加および協賛協力を行うと共に、2つの分科会を企画運営しましたので、以下、ご報告いたします。
分科会#5「こども基本法と子どもの権利~意義と今後の課題~」
こども基本法に対する参加者の関心の高さを感じながら
4月1日に施行されるこども基本法をテーマとして、会場とオンラインのハイブリッド形式で開催された本分科会では、小学生を含む学生、教員、議員、行政関係者をはじめ50名を超える参加者を迎えました。広瀬大智さん(フリー・ザ・チルドレン・ジャパン、以下FTCJ )司会のもと、岩附由香さん(ACE/エース)、西崎萌さん(セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、以下SCJ)の二人が講師を務め、この分科会に期待することを聞いてみたところ「こども基本法、こども家庭庁についてもっと知りたい」「何が変わるのか」という声が多く寄せられ、また「地方で法律をどう生かしていくのか」「地域の取り組みをしりたい」といった地方の動きに関心を寄せる参加者も多くいらしゃいました。
「こども基本法」は、私たちが目指す社会の実現に向けた大きな一歩
最初に子どもの権利について説明がなされ、質問タイムやグループワークを挟みながら、キャンペーンの取り組み、こども基本法成立へのプロセス、政策提言活動で実行してきたこと、こども基本法とこども家庭庁設立の今後の課題について話が進められました。
特に基本法に関しては、条約に掲げられた4つの一般原則が基本理念に位置づけられたこと、子どもの意見表明・参加を広く推進していく必要性が確認されたことなどが成果の一つとして評価されました。しかしながら、条約すべての規定を考慮・実施する必要性が明記されていないことが指摘され、今度は、啓発を強化しながら、子どもの意見表明の保障、実効性を担保するための具体的な施策など、積み残された課題に根気強く取り組んでいく必要があることが確認されました。
最後は、会場参加者から今後の対応や、具体的な施策に関する質問が相次ぎ、4月から施行される基本法への高い関心を感じる分科会となりました。
参加者から寄せられた感想
参加した子どもからは「これからの子どもたちのこれからをつくっていく社会のためにはすごく大事だと強く感じました。」という感想があり、「子どもの権利を教育内容に位置づけるには、学習指導要領を活用しなければならない」(教員)、「自治体として“こどもの意見の反映”の何かしらアクション起こしてみたい」(行政関係)といった感想も寄せられました。
また、議員の方より「制定にいたるまでのご苦労とパッション」が印象に残るセッションであったとのエールの言葉もいただきました。
会場でのグループワークの様子 講師:岩附由香 認定NPO法人ACE 講師:西崎萌(公社)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 会場とオンライン参加者集合写真
分科会#30政策をつくる人と話そう!子ども・ユースキャラバン
子どもの声を政策決定者に届けるために
2023年4月に発足するこども家庭庁の準備過程に子どもやユースの声を届けるために、子どもと子ども政策に関わるおとなが意見交換を行うことと、参加した子どもやユースの皆さんに子どもの権利、特に参加する権利について知ってもらうことを目的に開催した本分科会は、沖縄県内から19名、全国各地から5名の10歳~19歳までの子ども・ユースの参加がありました。また、こども家庭庁設立準備室職員や地方議員、行政職員を含めた6名の政策決定者の他にも、分科会テーマに関心のある20名のおとなが参加し、山内澄子さん(SCJ)の司会の下、会場とオンラインのハイブリッドで会を進行しました。
子ども・ユースと政策決定者との意見交換
前半では、子どもの権利やこども家庭庁の目的・役割について、アクティビティを通して学びました。
続く後半では、子ども・ユースの日々の困りごとやモヤモヤを感じていることなどについて、広瀬大智さん(FTCJ)、高橋美和子さん(関西NGO協議会)、大野さゆりさん(TOKYO PLAY)、杉山綾香さん(ACE)、西崎萌さん(SCJ)、川口真美さん(SCJ)がグループのファシリテーターを務め、子ども・ユース参加者と政策決定者であるおとなとが意見交換を行いました。
その後は全国の子ども・若者の参加の仕組みの例として川崎市と青森市で行われている子ども会議についての動画を視聴し、その後グループで「私たちが考える子ども・ユース会議」について、メンバーの集め方や話し合いを行うトピックの決め方、政策決定者へ声を伝える方法などについての意見交換を行いました。
参加者から寄せられた感想
子ども・ユースからは、子どもの権利について「誰かだけが特別だと言うことはダメだと分かった」、「こまかくたくさん子どもについての権利があって考えることができた」という感想や、子ども会議の進め方について「同じ不満を抱いている人を集める」、「大学の教授などの意見も聴いてみるべき」などといった意見が上がりました。また、こども家庭庁に対する期待についても「子どもが自分の意見を言えたり、子どもの成長に繋がるようにして欲しい」などの声が寄せられました。
また、政策決定者の方々からも、今後のより意義のある子ども参加の実現のために「表明して終わり、意見を聴きっぱなし、ではよくない。これをどう政策に反映し、実現に結び付けていくかが次の段階の課題だと感じている」などの意見が寄せられました
会場でのグループワークの様子 会場でのグループワークの様子
※分科会#5および#30開催メンバーは、以下となります(組織名、五十音字順)
岩附、太田、杉山(ACE)、高橋(KNC)、本岡(CRCフォーラムinあいち)、川口、西崎、山内(SCJ)、大野(Tokyo Play)、広瀬(FTCJ)、高橋(WVJ)
以上