6月15日(火)、広げよう!子どもの権利条約キャンペーン(以下、キャンペーン)では、子どもの権利保障について当事者である子どもたちが国会議員に意見を届け対話するための院内集会(衆議院第二議員会館)を開催しました。当日は、小学6年生から高校3年生までの子ども16人(うちオンライン参加2名)、国会議員14名、ユース記者7名、報道関係者9名、キャンペーン関係者20数名が参加しました。
本集会は、児童の養護と未来を考える議員連盟、ユニセフ議員連盟、子どもの貧困対策推進議員連盟、超党派ママパパ議員連盟からの後援を頂き、開催することができました。心より感謝申し上げます。
1.子どもに関する基本法および新たな省庁創設への提起(共同声明の説明)
・配布資料:「子どもに関する新たな省庁創設の議論に関する共同声明」
まず初めに、子どもに関する新たな省庁創設の動きがあることから、子どもに関する基本法の制定などを求めるキャンペーンの共同声明について、甲斐田万智子(キャンペーン共同代表、認定NPO国際子ども権利センター(シーライツ)代表、文京学院大学教授)より説明しました。
「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」が共同声明で求めている5つの点は以下です。
1)国連子どもの権利条約に基づいた子どもに関する基本法と子ども庁の制定・設置
2) 親や保護者のエンパワーメント
3) 子どもの権利影響評価の導入
4) 子どもの権利委員会からの勧告をフォローする子ども庁
5) 子どもの意見を聴き、子どもが社会参加できる制度
子どもに関する基本法や、子ども関連省庁を作るにあたって、子どもの意見を取り入れてほしい。そのためにこの院内集会を設けたので、子どもとの対話の中から、国会議員として取り組めること・やってみたいということを考えてほしい、と訴えました。
2.子どもと国会議員とのグループワーク
子どもたちと国会議員が数名ずつのグループに分かれ、「子どもの権利を保障するために政府に取り組んでほしいこと」について、子どもたちがそれぞれ意見を発表し、国会議員と共に話し合うグループワークを2回実施しました。
子どもたちからは、「学校に独立したソーシャルワーカーを設置してほしい」、「フリースクールなど学校以外の学びの場を選択肢に加え環境整備してほしい」「里親の下で子どもが虐待されることがないように研修を実施してほしい」「子どもの権利条約を義務教育で学べるようにしてほしい」「母子手帳に子どもの権利条約をのせてほしい」「外国にルーツのある子どもの就学状況の調査をしっかりとしてほしい」「開発途上国の貧困下で生きる子どもが質の良い教育を受けられるよう支援してほしい」などの意見が出されました。
全体司会を務めた高校生は、子ども発言者として「主な課題として、子どもの権利条約をまず子ども自身が知り、誰一人取り残さない社会を作ること。そして、家庭環境によって起こる生活や教育の格差をなくすこと。最近は、インターネットを普及からSNSを通じて起こるいじめの撲滅などです。私は、新型コロナウイルスの影響がある今だからこそ、子どもが安心・安全で過ごせるような提言をし、目標とされている社会に向かって進んでいくことが改めて大切だと思いました。」と述べました。
3.国会議員による感想・コミットメントの発表
国会議員も各グループでそれぞれに子どもの発言を聴き、意見交換をしました。グループワーク終了後には、子どもたちの意見を踏まえて、自ら取り組んでいきたいことを色紙に書いて発表しました。各国会議員が書いたコミットメントは以下のとおりです。
- 塩崎恭久 衆議院議員(自由民主党):「子ども基本法を作るぞ!!」
- 野田聖子 衆議院議員(自由民主党): 「こどもどまんなかの日本」
- 古屋範子 衆議院議員(公明党):「子ども基本法の制定、子どもコミッショナーの創設へ全力をあげる!」
- 牧原秀樹 衆議院議員(自由民主党):「こどもまんなか」
- 大西健介 衆議院議員(立憲民主党):「子どものことは子どもで決めよう」
- 宮本徹 衆議院議員(日本共産党):「子どもも、大人(親・教員)も子ども権利条約を知り、学び、子どもが当たり前に意見表明でき、大人もそれを尊重する社会にするため頑張ります」
- 鈴木貴子 衆議院議員(自由民主党):「包括的性教育の導入、性交同意年齢の引き上げ、子どもの権利基本法の制定、おとなが笑う・子どもが笑う」
- 牧島かれん 衆議院議員(自由民主党):「当事者である子どもの声を真剣にきいていこう」
- 山内康一 衆議院議員(自由民主党):「子どもの権利をあらゆる政策にいかしていけるように」
- 薗浦健太郎 衆議院議員(自由民主党):「全ての子どもに機会と平等を」
- 池田まき 衆議院議員(立憲民主党):「すべての子どもに安心と笑顔を」
- 吉田つねひこ 衆議院議員(立憲民主党):「子どもは国のそして世界の宝だと思います。より良い里親制度、特別養子縁組etc.を主役である子どものために育てていきたいと思います」
- 道下大樹 衆議院議員(立憲民主党)「子どもの権利を守り子どもの最善の利益を実現するのは大人の責務です。そのために頑張ります!」
4.閉会のあいさつ
川上園子(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン国内事業部部長)は、「子どもの意見表明という権利は、いろいろな権利の中でもユニークで、かつ非常に重要なもの。子どもに関わるあらゆることについて意見を言うことができて、その意見が正当に重視される権利です。
いま国会の中で議論されている、こども省庁や子ども基本法、子どもに関する総合的な政策について、いずれの形であれ、子どもの権利条約を基とした法律や政策が作られるよう、私たちは心から望んでいます。ぜひ今日の子どもたちの声を心にとめて、これからの議論を国会の中で進めていただければと思っています。」と述べて、閉会しました。
院内集会に参加した子ども発言者・ユース記者の感想
子ども発言者
- 子どもの権利条約について関心を持ち、アクションを起こすことは自信に繋がりました。
- おとなも真剣に考えてくれている、子どもたちがもっともっと声をあげていけたら良いと。
- 意見を伝えることの大切さを実感しました。国会議員の方とお話して、どうすれば自分の思いが少しでも伝わるかを考えました。
ユース記者
- 「子どもだからと言って、おとなよりも能力が劣っている、世界を変える力が小さい」などという迷信を一蹴するようなイベントだと感じました。
- 子どもには社会に参画し、声を上げる権利があるのだと再確認することができました。子どもメンバーの主張を聞くことで、子どもを取り巻く現状や、子どもが不平等だと感じていること、実現したい社会像を知ることができました。
- 子どもの権利条約を広める活動をしている同世代が沢山いることを知って刺激を受けました。
以上